週刊『印刷雑誌』

週刊『印刷雑誌』1巻17号 2010年9月6日
Japan Printer weekly vol.1, no.17

本メディアは,紙メディアである月刊『印刷雑誌』と連携し,印刷を中心とした情報を中心に毎週月曜日発行します。グラフィックアーツに関するポイント的情報収集にお役立てください。

誠晃印刷,ハイブリッドUV印刷機導入で生産現場の負担軽減
 誠晃印刷(東京・飯田橋)は,5月に小森コーポレーション製の「ハイブリッドUV」システム搭載の菊半裁判5色機「LS-526」を導入し,稼働させている。住宅地が密集している地域に工場を持つ同社では,通常のUV印刷機の導入がスペースや臭気の問題から困難だったが,同機は本体と付帯設備が省スペースであるため,実現した。UVを活用することでパウダーの使用が抑えられ,現場の負担が大きく軽減したという。
 小森コーポレーションは9月3日,誠晃印刷で同機の内覧会を行った。

日本フォトケミカル,リユースCTP版の活用で環境負荷を軽減
 日本フォトケミカルでは,同社が生産しているリユース型無処理CTP版「マイナスカーボンプレート」を同社で生産する印刷物の9割近くに使用している。同板は基材のアルミ板を再利用することでCTP版生産時の二酸化炭素排出を削減するもの。現像工程が不要な相変換タイプの樹脂が版の品質を保つため,小ロットの印刷物では大きく力を発揮するという。(詳細は月刊『印刷雑誌』11月号)

印刷インキ工業会,インキ製品のラベル表示切り替え推奨
 印刷インキ工業会は8月,アメリカ大豆協会の「ソイシール」使用許諾契約業務を9月末で終了すると発表した。これに伴い,当該製品のラベル表示について同工業会では,「植物油インキマーク」への切り替えを進めている。植物油インキマークの使用登録は同工業会のWebサイトで無料でできる。http://www.ink-jpima.org/faq.html
 なお,ソイシール商標登録有効期限は2011年4月末日となる。

印刷教育研究会,日本の底流文化を教育へ
 印刷教育研究会は9月3日,水道橋の都立工芸高等学校で総会および勉強会を開いた。総会では各議案が承認され,役員は再任となった。好評だった学生グラフィックコンペの第2回開催を今年度内に計画しているほか,業界関係団体との連携を強化することを目指す。
 勉強会では,工画堂スタジオの門野孝介氏が,日本の「たしなみ」文化が担ってきたサブカルチャー(庶民文化)の価値について,今や日本の輸出産品となっているコンテンツ制作の発展性には良質な価値観を育んだ日本の底流文化の再確認と教育への取り組みが重要とする見解を話した。

石田製本,Web上で電子書籍と本を作るオンデマンド製本サービスを開始
 石田製本は9月1日,電子書籍と紙の書籍を一度の編集で製作できるWebサービス「P-BOOKS」を始めた。同サービスは,Web上で編集した書籍データを自動的に電子書籍用フォーマットのePub形式に変換し,iPadやiPhoneで閲覧できるようにする。サービスの第一弾は,デジタルカメラの写真から作る電子フォトブックの制作を主軸に展開する。また,保存や贈呈用にハードカバーのフォトブックを1冊から注文することもできる。

文藝春秋,モリサワの電子書籍ソリューションを採用
 文藝春秋は9月2日,モリサワの電子書籍ソリューション「MCBook」を採用したiPad・iPhone向け電子書籍アプリケーションをアップル社のApp Storeで発売した。同社が両デバイスに対応する「ユニバーサル版」の電子書籍を販売するのは今回が初となる。コンテンツは,芥川賞作家・綿矢りさの『勝手にふるえてろ』と,ミステリー作家・米澤穂信の『インシテミル』で,前者は同社初の試みとして紙の単行本とほぼ同時に発売となり,電子書籍には著者のビデオメッセージも収録されている。

廣済堂,電子書籍書店アプリケーションを公開
 廣済堂は8月26日,iPadおよびiPhone向けの電子書籍書店アプリケーション「BookGate」の公開を始めた。同アプリケーションは,書籍の検索から購入,読書,本棚の設定までを行える。60社の出版社やコンテンツホルダーと契約しており,公開に合わせて70作品を発売した。年度内には2000作品を揃える予定。また,独自の電子書籍の企画や開発にも取り組んでおり,その第一弾としてミュージシャンの石井竜也氏の作曲秘話などを収録した電子書籍『詞解文書』も発売した。

自費出版大賞決まる
 日本グラフィックサービス工業会が主催する,日本自費出版文化賞入選作品が9月1日,発表された。地域文化,個人誌など全6部門に対し応募された641作品から地域文化部門の『対馬国志』全3巻(永留久恵著)が大賞に選ばれた。全体講評では,色川大吉審査委員長が,作品の内容は年々密度を増しており,プロの作家に引けを取らない作品も多いと述べた。表彰式は10月30日にアルカディア市ヶ谷で行われる。

ヒラギノフォントでフォトブックサービス
 キヤノンおよびキヤノンマーケティングジャパンが提供するオンラインフォトブックサービス「PHOTOPRESSO」は,大日本スクリーン製造のフォント「ヒラギノ角ゴシック体」「ヒラギノ明朝体」を指定フォントに採用した。同書体はフォントファミリーの豊富さと,どの写真にも合うデザインが特長。
 なお,同サービスは7月23日から始まり,Web上でフォトブックの装丁やレイアウトを設定でき,オンラインでの公開や印刷物出力が行える。

富士ゼロックス,カラートランスプロモ分野を強化
 富士ゼロックスは今年1月に発売した電子写真方式デジタル印刷機「Color 1000 Press」および「Color 800 Press」に「FreeFlow Print Serverモデル」を追加し,9月17日から発売する。このサーバは基幹システム出力に要求される機能を搭載し,プリンタ障害発生時のバックアップ機能や,強化されたプリントログ管理機能などで出力ミスを低減する。またパーソナライズドキュメントの作成・出力ソフトとの連携も強化した。価格はそれぞれ4500万円と3500万円。

ローランドDG,金属色調再現のプリンタ群拡大
 ローランドディー.ジー.は,金属色調を再現するメタリックシルバーインクおよび白インクを搭載した大判インクジェットプリンタ「VersaCAMM VS-540/420/300」の3機種を9月1日から発売した。メタリックシルバーインクとCMYKインクの吐出に時間差を設けて出力を行う機能を新たに搭載し,深みのある色調が表現できる。インク循環システムの搭載で色材成分の沈殿防止も図った。それぞれ,228万円,198万円,168万円。

家庭用インクジェットプリンタのラインナップ刷新
 大手インクジェットプリンタメーカー2社が,年末商戦を前に相次いで家庭用インクジェットプリンタの新製品を発表した。
 キヤノンとキヤノンマーケティングジャパンは8月30日,「PIXUS」シリーズの複合機5機種と写真出力機1機種を発表した。黒色の機体に必要な操作キーだけが発光して操作しやすい特長があるほか,無線LANでの写真出力はiPhoneやiPod touch,iPadに加えてアンドロイド端末にも対応した。また同時に,フラットベッドスキャナーの新製品「CanoScan LIDE 210」も発表した。画像を読み取るセンサー(解像度4800dpi)部分を小型化し,本体の薄型・軽量化を図った。A4判カラー,解像度300dpiの文書原稿を約10秒で読み取る。複合機とスキャナーは9月9日より,単機能機は10月下旬よりオープン価格で発売する。
 セイコーエプソンとエプソン販売は9月2日,「カラリオ・プリンター」のラインナップを一新し,複合機6機種と単機能機1機種,PCなしで写真出力やハガキを作成するコンパクトプリンタ「カラリオ ミー」の新製品2機種を発表した。操作パネルは,手順に従い使用するボタンが光って操作を誘導する機能を搭載したほか,パネルの角度調節も可能にした。無線LANとPCの接続方法も簡便化した。複合機とコンパクトプリンタは9月15日より,単機能機は10月より発売する。

サイン&ディスプレイ製品群が集結
 広告・看板業界の見本展サイン&ディスプレイショウが9月2日〜4日,有明の東京ビッグサイトで催された。主催は東京屋外広告美術協同組合で,出展166ブース,総来場者数は3万213人。レーザーカッティング加工機やLED電飾板,大判インクジェットプリンタおよび専用メディアの出展が目立ち,製品サンプルによってビジネス展開を示唆する提案が各所で見られた。デジタルサイネージの出展もあったが,全体的に従来のリアルメディアに関する製品展示が多かった。(詳細は月刊『印刷雑誌』11月号)

アドビ,Webコンテンツ制作でセミナー
 アドビシステムズは8月31日,東京のゲートシティ大崎ホールでWebコンテンツ制作の動向を探るセミナーを催した。ヤフーが今年4月にリニューアルしたiPhone向けインターフェースの制作工程について,電通が運営するモバイル表現研究所がアニメ制作会社やFlashクリエイターとともに製作したiPhoneと紙の絵本を融合させた「PhoneBook」について,楽天がアクセス解析とスマートフォンへの取り組みの現状についてそれぞれ講演した。

ggg,一世を風靡したデザインを披露
 東京のギンザ・グラフィック・ギャラリーは9月28日まで企画展「プッシュピン・パラダイム:シーモア・クワスト,ポール・デイヴィス,ミルトン・クレイザー,ジェームズ・マクミラン」を開いている。2日にはトークショーとオープニングパーティーが開かれ,多くの人が作品を楽しんだ。

グラフィック,9月9日〜12日に美術複製品の展覧会
 グラフィックは9月9日〜12日,京都のギャラリー「風蝶庵」で現代アートの企画展「For the creation.vol.1」を開き,美術複製を思考した印刷物の作品を展示する。絵画やイラスト,写真などの作品を,デジタルデータから顔料インクで出力し,キャンバスなどの素材に複製したもの。出力物は150〜250年の保存性があるという。
http://www.graphic.jp/adSync_special/adsync1009.php
 また同社は,名刺やポストカード,チラシなどの印刷物の制作に必要なデザイン制作環境をWeb上で提供し,それを使って作成した印刷物の印刷発注までを一貫して行うサービス「デザイングラフィック」を行っているが,同サービスに印刷物のデザインテンプレートを制作者のグループ内や企業内で共有できる機能「テンプレートシェア」を加えた。デザインコストと作業時間の削減が図れる。

ギフトショー,9月7日〜10日に開催
 パーソナルギフトと生活雑貨の見本市「東京インターナショナル・ギフト・ショー」が,9月7日〜10日,有明の東京ビッグサイトで開かれる。主催はビジネスガイド社で,消費財関連業界のメーカーや商社など2200社が出展予定。
http://www.giftshow.co.jp

日本出版クラブ,9月15日に電子書籍の基礎講座
 日本出版クラブは9月15日に東京・新宿区の日本出版クラブ会館で「今,知っておきたい電子出版の基礎知識」を行う。講師は東京電機大学出版局長の植村八潮氏と文化通信編集長の星野渉氏。電子出版の販売戦略や業界の動きなど,出版社に向けた解説をする。受講料8000円(出版クラブ維持員社6000円)テキスト代込み。

日本印刷学会,11月9日に次世代印刷技術の国際シンポジウム
 日本印刷学会は11月9日,日本印刷会館で次世代印刷技術についての国際シンポジウムを開催する。中国や台湾,タイから学識者が発表予定。

情報知識学会,12月4日に電子書籍端末のフォーラム開催
 情報知識学会は12月4日,東京・三田の慶応義塾大学で「多様化する電子書籍端末と学術情報流通」をテーマにフォーラムを催す。筑波大学の杉本重雄,東京電機大学出版局の植村八潮,凸版印刷の秋元良仁,慶應義塾大学の原田隆史の各氏の講演のほか,講師陣による討論も予定している。http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsik/

EFI,来春に年次大会
 カラーマネージメントソリューションやハイエンドインクジェットプリンタで定評あるメーカーのEFIは,2011年4月26日〜29日,米国ラスベガスのWynnホテルで12回目の年次ユーザー会議を開く。初日はAdobe社CEOのShantanu Narayen社長とEFI社CEOのGuy Gecht氏の討論も予定している。

ブラジル・サンパウロで来春イベント
 デジタルイメージングに関するイベントDigital Image South Americaが2011年4月27日〜30日,ブラジル・サンパウロで開かれる。本展はスクリーン印刷技術も含んでいる。
 主催は,ブラジル・グラフィック産業資機材協会(Association of Manufacturers and Agents for Equipments and Supplies of the Brazilian Graphic Industry)で,同協会はこのほか,ブラジル印刷産業協会(Brazilian Association of Printing Industry)とブラジル印刷技術協会(Brazilian Association of Printing Technology)とともに2014年のExpoPrint Latin Americaも開催し,さらにFernando Piniy優秀印刷賞も運営する。同賞は国際的に有名なもので,今年は11月23日にサンパウロで20周年を記念して実施される。

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重版出来 『新聞製作入門』(熊取義純著),1470円。
詳細 → http://www.japanprinter.co.jp

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週刊『印刷雑誌』1巻17号
2010年9月6日発行
編集長兼発行人:中村幹
発行所:株式会社印刷学会出版部


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